鮒ずしはくさっているのではなく、乳酸発酵しているのだ!
インターネットで鮒ずしの感想や評判をよく見ています。「くさい」「まずい」と言ったご意見があり、それ自体は理解できます。というのも、鮒ずしは単品で頂くよりも、純米酒やお茶漬けなどで、マリアージュ(組み合わせ)として楽しむ逸品だと考えているからです。これはライ麦パンだったり、ブルーチーズなどのクセのある食材と共通しています。
薄く切った鮒ずしを一切れ食べ、キリリと冷えた辛口の地酒を口に含むと、円やかな乳酸菌が広がり、なんとも言えない至極のひとときを味わえるのです。鮒ずしを美味しくないと感じた場合はぜひ試して頂きたいと思います。
ところで、鮒ずしのご批判の中に「腐っている」と書かれているものもたまに見かけます。これは間違いです。「腐敗」しているのではありません。塩漬けした鮒を近江米で「発酵」させることによって、複雑で独特の味わいが生まれます。
この「腐っている」という表現、食べたことがない方にとっては、大きな壁になってしまい、「鮒ずしはゲテモノ」という意識を植え付ける結果になっています。また、テレビや雑誌などのメディアで面白おかしく取り上げられることも多く、世間から鮒ずしが遠のいている一因にもなっているように思うのです。もちろん、近年のニゴロブナ減少、食生活の変化なども大きな要因ですが、正確な情報を私たちから発信していかないと、この伝統食は減っていってしまいます。
発酵食品というのは奥が深く、作り手によっても、気候条件によっても味が変化します。つまり、同じものは出来ません。鮒味は地産地消にこだわった特製鮒ずしも作っています。皆様にお届けできる日を楽しみに、私たちも真剣に鮒を漬け込み、熟成発酵させています。
丹精込めてお造りしている鮒寿司や鮎の薫製は下記サイトよりお買い求め頂けます。伝統と職人の技、そして想いを込めた近江の郷土料理を一度お試しくださいませ。